教育委員だより No.4

平成13年9月25日

小牧市教育委員会委員  朝倉 義文

「母親の知恵」

 近年の青少年の非行化に関連して、家庭での躾の在り方が問題視されています。そこで、「母親の知恵」という話を紹介させていただきます。アメリカの母親は、子供が転んでも助けにいかないで、自分で立ち上がるのを待っているそうです。子供に自立心を植え付けるためだと説明されています。

 それに比べて日本の母親は、子供が転ぶと10人中8人までが飛んでいって助け起こします。そして、「かわいそうにケガはなかった? ごめんね」と自分の責任であるかのようなことを言って謝ります。親と子の本能的な愛情だと説明されています。これはこれで、愛を感じてハッピーなのですが、子供の将来を考えると暗い気持ちになります。そこで子供は、自分が転んだのは自分のせいではなく親の管理責任である、ということを学ぶからです。

最高の知恵を持っているのは、アフリカの母親だと聞きました。子供が倒れると、どうするのか? すばやく自分も同じようにその場にバターッと倒れます。子供は泣く前にびっくりします。母親はひとりで立ち上がって衣服のホコリを払うと、それを見た子供も自分で立ち上がりホコリを自分で払うそうです。

昨年の12月に、北アフリカのアルジェリアの母親の講演を聞きました。講演の終わりに質疑の時間があり、私はこのアフリカの「母親の知恵」の事実関係を質問しました。私は、どうしてもこの話は創作ではないかと疑っていたからです。ところが、「本当です。私もそのように育てられたし、実際自分の子供が小さいときにはそうしていました」ということでした。

アフリカといっても広いところですから、すべての国がそうだとは思いません。しかし、この話の真偽を云々するのではなく、子供の教育に対する考え方の基本として参考になるのではないでしょうか。日本にも、「子供は親の背を見て育つ」という言葉があります。親や社会が規範を示すことによって、健全な子供が育っていくのだと思います。子供の人格形成の過程では、社会の姿勢とか親の躾の良し悪しが大きく影響していくものなのでしょう。


目次へ戻る