教育委員だより No.10

平成13年11月13日

小牧市教育委員会 委員長職務代理 山下 豊子

「お小遣いの使い道」

  今年の夏、アメリカからお客さんがやってきた。お母さんと7歳の少年K君だ。K君はアニメのピカチューやトトロが大好きで、日本での買い物をとても楽しみにして来たという。ちょうど桃花台祭りをやっていたので、一緒に出かけることにした。そのときに聞いた話だが、とても感心したことがある。

K君は祭りに行くことをとても喜んで、お小遣いの話をしてくれた。我が家では、皿洗い、風呂掃除、犬の散歩など子供たちの役割が決まっていて、いくらかは忘れてしまったがそれに対する報酬としてお小遣いを渡していた。サボれば引かれてしまうので、子供たちは一生懸命仕事をしていたことを懐かしく思い出した。

K君は、1週間のお小遣いが4ドルだという。それが多いのか少ないのかは分からないが、その後に続く説明に驚いた。1ドルはいつでも自由に使うお金、1ドルは部屋の貯金箱に入れて、少しまとまったときに欲しい物を買う。残りの2ドルは銀行に貯金する。そのうちの1ドルは長期貯金で、1ドルは中期貯金だという。長期貯金とは10年後に大学へ行くための資金作りで、中期貯金は今回日本に来たときのように、少しまとまったお金が必要なときのための貯金だというのだ。

アメリカでは高校を卒業するとたいていの子は家を出るというが、7歳のK君はすでに10年後のことが頭に在って目標を持ち資金作りを始めているのかと感心してしまった。お母さんにどうしてこのような考え方をするようになったのかと質問したら、お母さんの考えで子供にそうするように指導したという。

桃花台祭りで欲しい物が買ってもらえなくてダダをこねている子がいる中で、一つひとつ屋台を覗き悩みながら何を買おうか真剣な顔をして考えているK君。こつこつと貯めたお小遣いを無駄に使わないように、予算が決まっているので後悔しないように一生懸命だ。この違いはなんだろうかと考えた。買ってもらうことと自分で買うこと、してもらうことと自分ですること、うまくいかないことは他人のせいにすることと自分で責任を持つことの違いだろうか。

7歳で旅立ちの準備をする少年といくつになってもパラサイトシングルを続ける成人。どう育つかは子供に対する親の接し方にかかっていると、深く考えさせられた2001年の桃花台祭りだった。

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