教育委員だより No.29

                                                         平成14年5月22日

                                                小牧市教育委員会教育長  副島 孝

「学校公開日」

今年度の各学校の取り組みの一つに、学校公開日があります。学校公開日というのは、従来の授業参観とは少し異なります。基本的に朝から帰りまで、いつでもどこでも学校をみていただいて結構です、という試みです。すでに何年も前から、取り組んでいた学校もありました。教育委員会の指示で、市内の全学校を同時に公開する市は少なくありません。おそらく学校の情報公開、説明責任の一環として、市教委が命じたのでしょう。私も教育行政に責任を持つ身として、その意図はよく分かります。しかし、小牧市の試みの意図は少し違うのです。

実は反対があっても、これは実現したいと思っており、校長先生方にもそういう気持ちを持っていることを話したこともありました。すると、その後、数人の校長先生から、「学校の公開は市教委が指示して行うべきものでしょうか。市教委がそういう意図を持っていることを知ったので、後は各学校に任せてもらえませんか」と言われました。これは実にうれしい反応で、市教委に言われたからいやいややる、実施日時も市教委からの指示に任せるでは、余り成果の上がる公開にはならないと考えていたからです。市教委からの指示を待つのではなく、各校長が、各学校が判断し、責任を持つという姿勢が着実にすすんできた証拠です。

私は初めから、全校一斉に実施するのには反対でした。それは、学校公開に来てほしい人は、保護者や地域の方だけではなかったからです。実は現職の学校の先生方に、ほかの学校の様子を見てほしいのです。校区内の小中学校の先生は、できるだけお互いの学校の様子を知るべきでしょう。また可能なら、指導のうまい先生の授業を何時間も見てほしいのです。小牧市内には、ほれぼれするようなすばらしい授業をする先生、すばらしい子どもたちを育てる先生が、たくさんいます。先生方にとっては最高の研修の機会になると考えています。もちろん、自分の授業がありますから、みんなが自由に出かけるわけにはいきませんが、私が校長なら可能な限り送り出すと思います。

学校公開となると、問題は多くあります。休み時間とか、給食とか、清掃とか、ふだん見せていない姿がさらけ出されます。急な用事や病気などで、担任や教科の先生がいないというような事態さえあるかもしれません。しかし、そういうことも含めて、現実の姿を知ってもらうことの意義は大きいと感じています。あそこの掃除がいきとどいていない、草が伸びていた、などの苦情が増えるのを警戒する声も、なかにはあります。気のつかなかった点を指摘してもらえるのはありがたいことですし、子どもの指導にこれほど全力を傾けている先生方に、こんなことまで面倒見させてはいけない、私たちが協力するという声も、これまで以上にきっと出てくると思っています。

まだまだ問題はあります。安全対策という大問題が。公開に際して、そんなことまで考えなければならないのは悲しいことですが、それが現実です。名案があるわけはなく、各校で対策をとってもらうしかありませんが、これまでに実施してきた学校のノウハウがあります。1年たてば、もっと多くの知恵が生まれることでしょう。それから、これは蛇足でしょうが、体が不自由というような場合を除いて、自家用車で学校まで行くのは厳禁です。子どもたちはふだんの学校生活を送るのです。車があふれ子どもたちの安全さえ守れない状況を生み出して平気な人には、教育について語ってほしくありませんし、その資格もないと私は本気で考えています。

さて、今年度の市内の各学校の公開日は、このホームページのトップページの「小・中学校公開日」をクリックして確認してください。昨年小牧中学校が出した本も『正門からどうぞ』でしたね。ぜひ、学校を訪れ、頭の中でつくられたイメージでない、現実の姿をご覧になってください。そこから教育を語る共通の基盤ができるはずだと期待しています。

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