教育委員だより No.33

                                                         平成14年7月11日

                                                小牧市教育委員会教育長  副島 孝

公共図書館の役割

毎日新聞の6月16日付け社説が、図書館関係者の間で話題になっています。一部の公共図書館の「住民の要望に応えるため」という理由でのベストセラー本大量購入を、ベストセラーに予約が殺到するのは比較的短期間ではないかと、いささか批判的なニュアンスでとらえています。そして、たびたび利用するわけではない、価格も高い、個人で購入するには二の足を踏む本にも、十分に目配りしてこそ「公共」の意味があると指摘しています。

公共図書館は自分のことを無料貸し本屋(メディアが本だけでなく、CDやビデオに広がった現在では、無料レンタルビデオ・CDショップ)と思っているのではないかとの、強い批判があります。こういう考えの方は、公共図書館は個人では備えておくことが難しい基本的な図書を備えておくことこそが重要だと主張します。図書館は夜遅くまで開いているべきだという意見も、調べたい時に対応できることこそ公共図書館であると考える点で共通します。

一方、とにかく新しい本(CD、ビデオ)をどんどん入れてほしいという方も、少なくありません。自分が本屋さんで一度読んだりするだけの本を買わなくて済むようにすることこそ、公共図書館の役割だとお考えなのかもしれません。本屋の書棚で本を探すことも楽しいことですが、いつの間にか整理不能なほど増えてしまうのが本ですから、新しい本を借りたいという気持ちはよく分かります。結局、どこの公共図書館もこの二つの相反する考えの間で、バランスを取りながら運営しているのが現実だと思います。

さて、公共図書館のはじまりをご存知でしょうか。本が高価で、しかも入手が容易でなかった時代に、最初に成功した例が、1732年にフランクリンらによってつくられた「フィラデルフィア図書館会社」だと言われています。その組織は、入会金と月々の会費を出し合って本を購入しました。図書館が開いている時間には、会員以外も自由に読めるようにしました。借り出せるのは会員のみで、本の値段と同じ額の約束手形を書いて申し込む方法でした。

2,3年後フランクリンが館長になると、会員でなくても本の値段分の保証金を預ければ借り出せるようになりました。無料で本が借りられるようになるのは、これから120年後のことです。今日の公共図書館は、公費で維持されていて、無料で貸出をしている図書館を意味しています。その意味では「フィラデルフィア図書館会社」は私立図書館です。けれども英米の公共図書館は、このような私立図書館がもとになってできたそうです。ですから「公共・公立図書館の前身」という性格を持っているのです。(『社会の発明発見物語』仮説社)

公共図書館は本来市民が知恵とお金と労力を提供しあってできたのだという歴史を知ると、小牧市立図書館がボランティアの方にも読み聞かせなどだけでなく、本の整理等までご協力いただいている現状も意義のあることかもしれないと感じます。小牧市立図書館の現在の建物での開館は昭和53年で、現状では手狭なため蔵書の維持にも支障をきたしている状態です。貸出業務は3市民センターの図書室で補えても、中央図書館の果たすべき役割を考えると、図書館の建て替えやそれに伴うIT化なども検討していく時期に来ていると考えています。ぜひ市民の方々にも関心を持っていただき、図書館を訪れていただけると幸いです。

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