教育委員だより No.35

                                                         平成14年7月31日

                                                小牧市教育委員会教育長  副島孝

夏休みと体験

あれほど土日の休みに関しては受け皿論が叫ばれるのに、長期の夏休みについてはあまり言われないのは不思議な感じがします。暑い夏ですので、のんびり過ごすのも悪くないと思いますが、いろいろな催しも計画されています。たとえば、青年の家で行われた「小中学生囲碁教室」は、募集を大幅に上回る盛況振りでした(もちろん「ヒカルの碁」の影響は大きいと思います)。トップページの「子どものための夏休み情報」などには、まだまだこれから参加可能な催しも紹介されています。

夏休みは、家庭の在り方が問われる時期でもあります。ふだんは学校中心の生活にならざるを得ないのですが、夏休みは家庭の役割が大きくなります。これは何も学校があるときと同じように、家庭が面倒を見なければいけないということではありません。子どもたちに家庭での居場所を用意できるかということです。子どもが家庭のお客様でなく、本人の役割を持っているかということです。よく遊園地などに子どもを連れて行くことを家庭サービスと言いますが、そうではなく家族の一員としての本人の存在感を確保してあげることが本来の家庭サービスではないでしょうか。

 長期の夏休みは、なかなか生活を律することの難しい時期でもあります。早寝早起きが生活の基本ですが、学校のないこの時期には生活リズムが崩れがちなため、昔からラジオ体操などそれなりに工夫がなされてきました。夏休みは非行が増加する時期だとも言われますが、夜間徘徊などが非行のきっかけになっています。新聞記事にもなったプールへの侵入事件も、夜中に平気で外出している現実がなければ、起こるはずもないことです。夜間に子どもが平気で外出することを認める親は、決して物分りのよい親ではありません。

深夜に子ども連れの家族が、楽しそうにレストランなどで会食しているそうです。一見ほほえましい光景にも見えますが、よく考えてみると意図的に子どもの生活リズムを壊しているとも考えられます。早起きと朝食をしっかりとる習慣は健康に影響を与えるだけでなく、成績にも大きく影響を与えることは教師なら誰でも経験的に知っていることです。大学の受験生でも、成績のよい子ほど早めに寝るとも言われます。能率の悪いだらだら勉強が成績と結びつかないことは、多くの人が思い当たるのではないでしょうか。

特別な夏休みの過ごし方があるわけではありません。生活のリズムを大切にし、お手伝いなど自分の役割を果たし家族の一員としての居場所を持つ、こんなことさえできればすばらしい夏休みだといえます。何も遠くへ連れて行くことだけが、夏休みの思い出づくりではないはずです。後に生きる生活の習慣づくりをしたいものです。これこそが、本当の体験だと思います。

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