教育委員だより No.36

                                                         平成14年8月8日

                                                小牧市教育委員会教育長  副島孝

小学校の英語活動に思う

「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」が、文科省から発表されました。「戦略構想」というだけあって、具体的な目標数値をあげたものです。達成目標を、中学校卒業段階で、卒業者の平均が英検3級程度、高校で準2級〜2級程度。英語教員が備えておくべき英語力の目標値も、英検準1級、TOEFL550点、TOEIC730点程度と非常に具体的です。興味深いのは、小学校の英会話活動の充実で、活動回数の1/3程度は、外国人教員、英語に堪能な者又は中学校等の英語教員による指導が行えるように支援する、とあります。

英語に関して、多くの日本人はかなりのコンプレックスを持っています。もちろん私も例外ではありません。時々外国の方と会う機会がありますが、とても疲れますし、本当に伝わっているのかなと疑心暗鬼になっている自分を感じます。特に、周りに日本人がいると、よけいに緊張するという情けない状態です。自分で話すのはまだしも、早口でベラベラやられるともうお手上げになります。最近は会話だけが強調されますが、読み書きについても力不足を自覚しています。

小牧市内の小学校では、全校で総合学習の時間を利用して英語活動が行われています。すべての時間を外国人教員(ALT)や英語に堪能な者(協力員)が、担任と協力して行っています。そういう意味では、すでに小学校については、これから何年かかけて実施していく構想以上のものが実現しています。ただ問題は中身です。平成11年度以来の経験を踏まえて、昨年度基本となる指導計画(カリキュラム)を作成したところです。

小学校の英語活動や教室などを見せてもらう際に、ひとつだけとても気になっていることがあります。それは、ときどき英単語や英文にカタカナをつけてあることです。日本語があれば、記憶しやすくなることはよくわかりますが、個人的には全く賛成できません。それは、私自身英語特有の発音が身についていなくて、今でも苦労しているからです。1,2,3,4を、ワン,ツーはともかく、スリーではどうしようもありません。threeのthは意識しないと発音できませんし、fourのfも全く同様です。RとLの区別もあやふやです(日本語のラリルレロが、RでもLでもないことは理解していますが)。現代日本語の母音はアイウエオの5つですが、英語は20以上です。せっかくの音を身に付ける時期に、カタカナではどうしようもないと思っています。

誤解してほしくないのですが、子どもたちに英米人と同じような発音をさせるべきだと言っているのではありません。日本人なまりの英語でかまわないと思っています。しかし、あくまでも(日本人なまりの)英語であるべきなのです。カタカナは日本語です。私たちが英語を重視しているのは、英米人の言語としての英語ではなく、コミュニケーションの共通語としての英語です。各国ごとのなまりは、あって当然ではないでしょうか。

さて、「戦略構想」は最後に、国語力の増進を掲げています。小学校段階から英語を学ぶことへの疑問の声は、各方面から出されています。話すべき内容をもってこそ、外国語の必要性が出てくるという指摘です。これは正しい指摘です。しかし、逆のことも言えます。外国語を学ぶことよって、日本語の組み立ての特色を知る。外国語で説明しようとして、自分がいかに日本について知らないかを知る。多くの人が、このような経験をしています。英語活動も、そこまで意識しないと本物にはならないでしょう。担任の先生の役割がここにあります。

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