教育委員だより No.39

                                                         平成14年9月20日

                                                小牧市教育委員会教育長  副島孝

学校行事のもつ意味

運動会・体育大会のシーズンです。どの学校も、かける時間数の差はあっても、練習に余念のない日々です。このように学校行事は、当日だけでなく準備段階にもかなりの時間を必要とします。学力低下が過剰に心配される最近では、学校行事を削って授業時間にあてる動きもあります。地方によっては、中学校の体育大会と文化祭を1年交代で実施する中学校も出てきたそうです。機械的に行事を削って授業時間を増やすだけで、本当に学力が向上するのかという問題もあります。また、学校の行事は簡単に削ってよいものなのでしょうか。

ちょっと硬くなりますが、学習指導要領では学校行事は、儀式的行事(入学式・卒業式など)、学芸的行事(学習発表会・文化祭など)、健康安全・体育的行事(身体測定・内科検診・運動会・体育大会など)、遠足・集団宿泊的行事(遠足・野外活動・修学旅行など)、勤労生産・奉仕的行事(大掃除・奉仕活動・ボランティア活動など)の5つに分類されています。どの行事をどのように実施するかは、各学校に任されています。だから、どの学校でも全く同じということは、まずありません。ある意味では、行事を見ると、その学校の教育に対する考え方がわかるとも言えます。

学校行事は、子どもたちの生活に潤いと変化をもたらします。だから、楽しみにしている子どもが多くいます。しかし、楽しみだけで多くの時間数を要する行事を行うわけにはいきません。それぞれの行事には、それなりの目的があります。期待される成果と要する時間数を勘案して、どんな行事を実施すべきかを各学校は決定します。学校によって子どもたちの実態が異なりますから、どんな行事をどんな内容で実施するかに知恵をしぼります。隣の学校が行っている方法をまねしても、期待した成果が得られるとは限りません。

市内の話ではないのですが、最近ある人から野外学習についての疑問を聞いたことがあります。その人の子どもが通っている中学校では、立派な施設に宿泊し、飯盒炊飯も一度だけ、それもメニューはレトルトのカレーを解凍するだけ、お茶はペットボトルをひとりずつに配付だそうです。期間中の活動内容も、施設や土地のボランティアの方の示すメニューから選ぶだけ。小学生ならともかく、中学生に何のためにやらせるのか、こんな内容が学校や家庭でできない体験をさせるということなのかと、ずいぶんご立腹でした。

野外学習に限らず、修学旅行などの宿泊を伴う行事は、準備にたいへんな手間と時間、そして費用を要します。また、事故を起こしてはいけないと、慎重の上にも慎重になります。その結果、家族旅行よりも楽なものになるという、笑えないようなことも起こります。しかし、学校を非難するだけでよいのでしょうか。実は、あたらず触らずなんでもよいから無事に終わればよい、と考えた学校の態度のうらには、それでよしとする保護者の存在があったからではないのでしょうか。

体験活動の不足が、学びへの意欲低下や思いやりの心の不足を招いている、とよく言われます。だからこそ、体験活動の重視が叫ばれています。しかし、そのための体験活動は、達成可能な困難を乗り越える体験でなければならないのでないか、と言うのが私の考えです。達成可能なレベルをどこに設定するかは、学校や保護者の見識が問われるところです。行事を参観したり、参加したりする際に、そんな視点でご覧になったらいかがでしょうか。

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