教育委員だより No.46

                                                         平成14年12月27日

                                                小牧市教育委員会教育長  副島孝

学力でも学校と家庭の協力が

今年の学校教育関係で最も話題になったのが、新学習指導要領の実施と学力低下問題でした。さまざまな論議がなされましたが、共通の基盤がなく印象批評の域を出ない議論も少なくありませんでした。その基となるきちんとしたデータが、今回文部科学省から全国一斉の学力調査(正式には教育課程実施状況調査)の結果として発表されました。文部科学省は結果について、通過設定率(正答率)を基準に「おおむね良好」と判断しました。

判断材料のデータが示されたにもかかわらず、マスコミなどの反応はまちまちです。低下を心配されていた国語でむしろ正答率が上昇していることについては、あまり触れられていないようです。これに対して算数数学については、低下が証明されたと話題が集中しています。文科省の判断の基礎となった事前に想定した通過設定率(正答率)についても、誤解が多いようです。結果が出てから出来を評価するのではなく、問題作成者があらかじめ正答率を設定するのは、評価法としては正しい方法です。もちろん通過設定率が妥当であったかどうかの検証は必要ですが。

問題の中身について論じる人もいました。今回の学力調査は、あくまでも教育課程の実施状況調査ですから、習っていることがどれだけ定着しているかを調べたものです。小学校5年生の理科には、メダカのオス・メスを見分ける問題も出ています。ですから、こんな問題ができてどうなるのだという議論は、また別の論点です。それよりも、もう少し長いスパンで冷静に学力問題をとらえ、有効な対策をとっていくことが必要だと考えます。

今回の調査の特色は、教師の意欲や児童生徒の意識と学力の関連を、同時に調査したことにあります。教師の意欲に関しては、宿題をよく出す、発展的な学習を取り入れた授業をしている、理解不十分な子には更に指導しているなどの割合が高い教師が受け持つほど、成績が良いとの結果が出ています。また、分からないことをパソコンで調べる、新聞を読む、朝食をきちんととる、前日に学校の準備を整えるなど、基本的な生活習慣が身についている子ほど成績が良い、という結果も出ています。

今までもよく言われてきた、子どもを取り巻く文化環境や家庭環境の問題が、生活だけでなく学業にまで影響をあたえていると言えそうです。家庭の責任とともに、行政の責任も問われているように感じます。小牧市ではすでに全教室に、インターネットで調べられる環境を整えています。新聞も家庭に任せるだけでなく、NIE(Newspaper In Education新聞を授業に活用する実践)などを授業に取り入れる研修を続けています。家庭だ、学校だなどと言い立てるのではなく、双方が協力し合うことの重要性が、学力問題でも証明されたと言えそうです。

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