教育委員だより No.80

                                                                  平成16年3月4日

                                                教育長 副島孝

教育研究所研究員を募集します

  学校の先生は、授業がきちんとでき、学級経営をきちんとやれば、それで十分に責務を果たしたことになります。しかし、一方で、それだけでは満足できず、専門的な力量を高めるため、さらに研究したいという先生もたくさんいます。その証拠に多くの研究団体があり、自主的な研究を続けてきました。こういう先生方が教育のレベルを向上させてきたのです。単に教えるだけでなく、研究にまで取り組む先生が少なくないのが、日本の教育の特長のひとつだと言われています。

ところが、最近多くの研究団体(特に民間の研究団体)で、会員の高齢化や減少からくる研究活動の停滞が深刻な問題となっています。そのなかで、今も成長を遂げている団体も、少数ながらあります。この違いは、どこから来るのでしょうか。私が見るところ、会員に自らも実践記録や論文発表を要求している団体が生き残り、何かを学んでくるために参加するという受身の姿勢の会員が大多数の団体は、苦境にあえいでいるように感じられます。受身の会員が参加しなくなってきたところに、現在の教育の問題がありそうです。

さて、小牧市の現状を見てみましょう。小牧市では数年来教科指導員制度を活用し、教育研究や研修の推進役の養成を図ってきました。しかし、この制度は教育研究と相容れない面のある、校長推薦という方法でメンバーを集めるものでした。そこで来年度からは、市内の先生なら誰でも応募できるという、完全応募制の教育研究所研究員制度にしたいと考えています。応募分野も全くの希望制です。数学と生徒指導、社会科とディベートなど、いくつでも構いません(応募用紙は各学校にあります)。基本的には学校訪問などとは切り離し、純然たる研究組織としたいと考えています。また、研究員の意見を反映した、質の高い、充実した研修の機会を用意したいと考えています。

しかし、たった一つですが、義務もあります。それは、1年に1本は論文を書くということです。論文を発表しなければ、翌年の応募資格を失う結果となります。研究員として研究実践した成果は、決して個人だけのものではありません。その成果は、当然市内の先生方すべてに還元できるよう発表していただきます。従来の研究論文という形でなく、実践報告的なものでも構わないと考えています。当然ながら、Web上で誰でも読んで、活用できる形になります。

この制度の背景には、せっかく整備してきた学校のIT環境を、研究活動にも活用したいとの思いもあります。メーリングリストを十分に活用し、各学校での本来の仕事にできるだけ支障のないようにしたいと思います。また、研究員の氏名や応募分野についても、Web上で公表します。同時に、これは研究員の仕事ではありませんが、教育委員会としてWeb上に教育センターを立ち上げたいと考えています。市内の先生方にふだんの授業や指導に役立てていただく、リンク集が基本となります。ゆくゆくは小牧市内の先生方の実践により、中身を充実させていくつもりです。

ほんの2、3人の応募者しかないかもしれませんし、100人を超える応募者が集まるかもしれません。どのようにも対応できると考えていますし、市内の先生方の現実から始める以外に方法はありません。しかし、少なくとも教育の実践や研究は楽しいと思える先生を、一人でも多くしたいと考えています。教師としての実践と研究の楽しさを感じられる先生が一定数に達したとき、市内の各学校での授業や研修の質が変わるだろうと期待しています。

目次へ戻る