教育委員だより No.91

                                                                  平成16年6月30日

                                               教育長 副島孝

OJTこそ基本

1学期の学校訪問が終わりました。実際に授業をみることがそれほど多いわけではない私にとって、非常に貴重な機会ですので、どこの学校でも全部の授業を見せてもらうようにしています。ひとつの教室に10分もいられませんが、それでも先生と子どもたちとが学ぶ姿は、いろいろなことを感じさせてくれます。そのときだけヨソユキの授業で何がわかるか、などと言う方もみえますが、そんなものではありません。どんなに表面を取り繕おうと、常日頃の姿が出てくるのが授業というものです。

また先日、教師力アップセミナー(本たより32参照)の後、苅谷剛彦氏(本たより22参照)と話す機会を得ました。文章の調子から気難しい方と想像していましたが、これがまったくの予想はずれで、とても気さくな方でした。いろいろな話に花が咲きましたが、意気投合したのは、教師が力をつける基本はやっぱりOJTだということでした。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)とは、日々の仕事を通じて能力を向上していく方法のことです。

日々の仕事に精を出すことが、そのまま自分の能力向上につながるのですから最高の方法です。人間は能力向上が実感できないと、満足感が得られない動物です。最近はやりの成果主義の職場でも、能力開発の機会を十分与えられない場合は、社員には不満が残るそうです。納得できる話です。

教師の仕事には職人技の側面がありますので、徒弟制度のような養成場面も必要です。しかし、そのためには師匠格を務められる先輩が必要です。学校訪問で授業を見せてもらうと、こういう先生のこういう技術を学べば、この学校の先生方はずいぶんレベルアップするだろうなと感じることがよくあります。特に若い先生方にとっては、学ぶ(真似る)対象となる先生がいることは、良い職場の必須条件だと思います。

しかし、同じ学校の先生でも、授業を見る機会はそれほど多いわけではありませんので、それだけに頼ることはできません。それを補うために、さまざまな研修の機会が設けられています。教師は自ら学ぶことによって初めて教壇に立てる存在ですから、研修の機会は傍からは驚くほど用意されています。また、自主的に研修する機会も、他の職種からは想像できないほど保障されています。それでも最後は、同僚から学び合う雰囲気が学校にあることが、教師を育てる、つまり学校におけるOJTの基本だと思っています。

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