教育委員だより No.94

                                                                  平成16年7月30日

                                                教育長 副島孝

学びのポイントラリー

先日、ある人から、「学びのポイントラリー」を小牧市で取り入れませんか、と提案されました。内容を聞いてみると、人間力戦略研究会の報告書に盛り込まれた「授業外学習ポイント制度」のことだとわかりました。研究会の座長でもある教育心理学者の市川伸一氏が提案したもので、自治体や市民団体、NPO、民間企業、大学などが地域で行っている教育プログラムへの参加がポイントとしてカウントされる、というものです。参加を義務づけることはできませんが、部活動や生徒会活動のように、活動実績として認められるというメリットがあれば、休日や長期休業などに参加することも促されるだろうという考え方のようです。

カバーしたい分野としては、「教科学習の補充・発展」「文化・スポーツ活動に関するもの」「市民生活に関するもの」「職業理解に関するもの」が挙げられています。これら4分野について年間合計40ポイント以上取ることを、小学校5年生以上、高校3年生までに促すというものです。40ポイントというのは40時間ということで、平均すればほぼ毎週土曜日に1ポイント見当ということになります。せめてそれくらいを最低ラインと考え、学校だけではなかなかカバーできないような学習を広く子どもにやってもらおうという趣旨です。

現在では、どの地域でもさまざまなプログラムが用意されていますが、参加している子どもたちは非常に限られていて、はじめから意欲のあるごく一部の子どもだけになりがちです。義務ではなくても、参加を推奨されれば出るようになる子どもたちはたくさんいると思われます。参加を通じて、さまざまな活動をしている社会人と関わることは、学ぶことの意義づけや学ぶ意欲にもつながっていくことが期待できます。

もちろん、疑問もあります。分野の分け方は、この4つでよいのか? どんな形で、活動実績を示すのか?(通知表や調査書か?) 自己申告制でよいのか? 学校外の活動を強制することにならないのか? などなど、いくつも考えられます。しかし、何もかも学校が受け持つという考え方に比べれば、生涯学習時代の学校教育の役割をはっきりさせるうえでも、望ましい方向だとも考えられます。

商工会議所の方との雑談のなかで、職場で親が働いている姿を子どもたちに見学させる「子ども参観日」という試みがあるが、それに加えて各企業が生産している製品を展示し、どんな工夫をしながら生産しているかを見学できる場所を少しずつ整備すれば、市全体としては従業員の子どもに限らず役立つ、りっぱな産業博物館になるはずだ、という話になったことがありました。こういう試みへの参加も、ポイントになるはずです。ボランティア活動への参加なども入るでしょうし、コンサートや演劇に出かけることも含まれるのではないでしょうか。義務でないことで、意外にうまくいくようにも考えられます。

この件に関しては、まだ考え始めたばかりで、どうしようという具体的な考えは全くもっていません。議論の材料として、取り上げたに過ぎません。機会があれば、ご意見を聞かせていただきたいと考えています。なお、この稿を書くにあたって、『学ぶ意欲とスキルを育てる…いま求められる学力向上策…』(市川伸一・小学館)を参考にしました。学校での学習指導を考える面で、非常に参考になりました。特に、学習相談のシステムや少人数指導と習熟度別指導との違いに関しては、目を覚まされる思いがしました。

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