教育委員だより No.119

                                                                  平成17年5月2日

                                                教育長 副島孝

研修のイメージを変えたい

研修という言葉を聞いて、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。あまりよいイメージを持ってない人のほうが、多いのではないでしょうか。私自身のこれまでの多くの研修体験を思い出してみても、やらされていると感じたり、内容よりもやること自体に意味があると考えているのではないかと感じさせられたりする研修が、多かったように思います。

しかし、そういう研修ばかりだったわけではありません。自分自身や仲間と自ら探して出かけた研修は、多くの場合自腹での参加でしたが、得るものが大きかったように思います。また、ほんの少数ですが、あまり期待していなかったにもかかわらず、内容のすばらしさから多くを学んだこともありました。そういう経験から考えると、受けたい内容をふさわしい講師(講師料が高い人がよい講師とは限りません)から受けるというのが、よい研修の必要条件だと言えるようです。

現実には先生方は、研修内容自体の検討から参画できる形になっています。教育委員会でも各学校でも、教員研修を企画する現職教育委員会は、参加者の代表を含んだ形で組織されています。多くの経費と時間を費やす研修ですから、こういうことも落とさずにやっていますという(いわばアリバイ作りの)研修ではなく、役に立つ、やってよかった、自分のクラスや授業で活用してみたいという研修が望まれます。

学校訪問などで毎年多くの学校をまわり、先生方の授業や子どもたちの様子を見ていると、よい現職教育を行っている学校は、年々雰囲気がよくなってきていることを感じます。先生方が気持ちよく学ぶ経験を重ねているうちに、いつの間にか子どもたちへの指導の質が変わってくるからだと思います。「研修」という言葉は法律用語で、研究と修養を結びつけたものです。教育公務員にとって研修は、権利であり義務であるとされています。でも、そんなことより、受けてよかったという研修を経験することのほうがすっと重要です。「図解基本方針(子ども育成編)」で、「実効性のある教員研修」と書いたのは、この理由からです。

4月の研修から、二つ例をあげてみます。一つは、ある学校で春休みに行われた現職教育です。コーチングの指導者を招いて、丸1日をかけて行った教師間のチームワークづくりの研修です。講師も先生方も講演などではなく、実際の活動を取り入れたものを希望して取り組んだものです。複数の今年転勤した先生から聞きましたが、あの研修で学校の一員になれたと感じたと喜んでいました。

もう一つは、毎月の教育研究会の裏番組で昨年から行っている、非常勤講師などへの研修会です。教育委員会の指導主事が、順番に講師を務めます。参加の義務はないので、つまらない、役に立たないと感じたら、次から参加しなくても結構ですと話してあります。最初の講師は私でしたので、かなりプレッシャーがかかりました。非常勤講師だからといって、指導力が十分でなくても仕方がないというわけには行きません。学ぶことを通じて力をつけることは、子どもだけではなく教師にとっても当然のはずです。

一朝一夕に、研修に対する考え方が変わることは難しいでしょう。受けたいと感じる内容を予め用意するのが理想でしょうが、学校での多くの教育活動は、いやいやでも受けなければならないという形を基本としています。しかし、学んでいるうちに、いつも間にか内容に引き込まれて、自ら学んでいるかのように感じるようになるという側面を持っています。教育委員会や各学校で行われる研修も、そんな経験をする場にして行きたいと考えています

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