教育委員だより No.148

                                                                  平成18419

                                        教育長 副島孝

国語重視と言うだけでは

小学校への英語導入議論やPISAの読解力テスト結果にからんで、また国語重視論、国語授業時間の増加論が強く主張されるようになってきました。国語が大事なことは、誰もが認めるところです。しかし、国語という教科の時間を増やせば、本当に国語の力はつくのでしょうか。何人かの人に訊いてみても、国語の授業のおかげで読解力がついたとか、本の読み方がわかったという回答はほとんどありませんでした。私自身もそうです。国語は得意な教科でしたが、その理由は勉強しなくても点が取れるからというものでした。全く反対の理由(勉強しても点が取れるようにならない)から嫌いだったという人も少なくありません。

今日は、市の初任者研修の開講日でした。毎年最初は、教育長講話をすることになっています。いつも何を話すか迷うのですが、今年は、国語の授業をやってみました。2ページほどの短いお話「もし もし お母さん」を使い、一度読めば簡単にわかってしまうような教材で、授業を通じて考えさせたり、気づかせたりする工夫(つまり授業づくり)を経験してもらいました。ネタばらしをすれば、『わかったつもり〜読解力がつかない本当の原因』(西島克彦・光文社新書)を材料に、当たり前のことを当たり前に教えても授業にはなりませんね、ということを理解していというものでした。

本来なら、教師としての心構えを講話するのが本当でしょうが、すでに方々の研修で耳にたこができるくらい聞かされているはずです。また、教師という専門職は、心構えと情熱だけで務まるような仕事ではない(必要ないという意味ではありません)と思っています。そのためには、子どもたちの立場で授業を受けてみて感じてもらいたいと考えたのです。考える視点を与える発問やちょっとした工夫により、考えてもみなかった段階にまで読みが深まる経験をしてもらうことで、授業の醍醐味や国語授業の具体的なイメージを感じてもらいたかったのです(どれほど成功したかは疑問ですが)。

講話では、国語につきものの漢字指導の一例として、漢字ビンゴ(正確には開発者の名を取った漢字マッキーノと呼ぶべきでしょうが)を紹介しました。反復練習を学校では避けて通れません。だからといって、苦痛を与えたり、力がつかなかったりする方法では困ります。いろんな方法がありますよ。いくつもの方法を知ることで、指導法の引き出しが多くなり、その時どきで最適な方法を選択することができますよ。そのためには、せめて数種類の教育雑誌を定期購読しましょう。読む暇がなくても本を買いましょうと勧めましたが、何人が実行してくれるでしょうか。

目次へ戻る