教育委員だより No.163

                                                                  平成18119

                                        教育長 副島孝

いじめ報道に思うこと

いじめや自殺が連日のように報道されています。「あってはならない」ことではなく、「あってほしくない」ことではあるが「あり得る」こととして、小牧市では従来から取り扱ってきました。全国での件数が減っているのに、報告数が多いのは問題だと言われたこともあります。しかし、発見数が多いことは恥ずかしいことではなく、真剣に対応している証拠だという立場が、悲しい事件のお陰で認められるようになりました。

先日の市の校長会では、会の後半にグループに分かれていじめ問題に対する討議が行われました(研究授業後の協議と同様、話を聞くだけ、何人かが発言するだけの会議を何とかしようと、このスタイルが市内で一般的になってきたことを物語っています)。私が同席していた小学校のグループでは、各校の現状報告の中で、通学団での登下校をめぐるトラブルが問題となっていました。これは以前からもあったことですが、安全対策として通学団による登下校が必須となったことで、いちだんと問題化してきたようです。背景として保護者同士の不仲が関わっているという認識も、各校に共通していました。

新聞報道にもあったように部(クラブ)活動も、以前からトラブルが多く大人の目が行き届きにくいところでした。通学団や部活動は、異年齢の集団から構成され、子ども同士の関係が濃厚という共通点があります。だから、トラブルが起こるのなら止めた方がいいと言われがちです。事実そういった動きも少なくありません。ただ別の視点からは、人間関係を学ばないまま成人する若者の問題が指摘されています。人間にはトラブルを経験しながら、他人との付き合い方を学ぶという側面があります。成長期に嫌な思いを一度も経験していない大人は、恐らく一人もいないでしょう。

子育てのすべてを学校任せにするのではなく、家庭や地域が責任を持とうとよく言われます。しかし、現実にはますます学校任せの状況が進んでいるように思えます。幸いにして、小牧市では地域で子どもも巻き込んだ取組みを行う「地域3あい事業」が進められています。数区合同での実施を含め、市内の多くの地区で取り組んでいただいています。こういった取組みは、今後ますます重要になってくるはずです。

自殺報道によって、誘発される子どもが出るという現象は、すでに以前から指摘されていましたが、最近は大人にも同じ傾向が出ているように感じます。ですから今の時期は従来以上に、この問題について細心の注意を払わなくてはなりません。学校におけるいじめは当然、クラス内の場合もあります。これについては様々な方法で早期発見に努めるとともに、相談できるチャンネルを多数持つということに尽きると考えています。少年センターをはじめとする相談機関を紹介するカードを全中学生に配付するなど、今すぐできる対応を進めているところです。

一方で現在の学校には、十年前の卒業生でさえ驚くほど多くの地域の方々が出入りするようになりました。また中学校を例に挙げれば、カウンセラー、相談員、スクール・サポーター、学校地域コーディネーター、司書など、先生以外の立場の人が多く存在するようになりました。先生には相談しにくくても、先生以外の立場の人なら相談できることもあります。単に先生と一体になってお手伝いする(これも大切なことではありますが)だけでなく、先生とは異なる立場の人というメリットも生かしてほしいと願っています。先生は(実は親も同じなのですが)、指導と受容という両面を上手に使い分けることを要求される存在です。先生方に完璧さを求めるだけでなく、補完対策を用意することも重要だと考えています。

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