教育委員だより No.164

                                                                  平成181121

                                        教育長 副島孝

学びの実感と不祥事と

先週の土曜日は市内の多くの学校で、学校公開(授業参観)が行われました。その中で応時中学校では、あわせて公開研究会が開かれました。東京大学大学院教授の佐藤学先生をお招きして、午前の全クラス・全教員の授業公開、午後の特設授業、応時中教員による研究協議、最後に佐藤先生による講演が行われました。参加人数が増えすぎては実質的な研究会にはならないと、市内の学校以外には学校ホームページのみの案内でしたが、最終的には北海道から広島まで200人を超える参加者となりました。

午前中の授業公開では、これまでにも増して全クラスで「関わり高め合う学習」が行われていました。参観の保護者の皆さんも、先生と子どもたちの学び合う姿に浸ってみえました。よく言われる参観者の私語どころか、授業の展開に聞き入る「しっとり」とした雰囲気が学校中に漂っていたのが印象的でした。「どの子も学びに参加している。期待以上だ」という佐藤先生の言葉に同感できました。

参加者が多くなってしまったため、特設授業は体育館で行われました。しかし、そんな条件でも教室と同じように、静かに話し合い、考え合う授業が展開されました。研究協議でも子どもたちの学びの事実に沿った、子どもたちの名前が飛び交う、一人残らず教師として、専門家として成長しあえると実感できる協議が行われました。

講演では応時中の研究段階に即した、質の高い、ジャンプのある学びに進むための具体的なお話が印象的でした。「授業の始まりを大切に。学習課題に取り組むまでの時間は、誰もが参加意識のある5分以内に」「生徒の発言をつなぐための、教師の立ち位置」「グループの目的は話し合いではなく、学び」「グループは1回とは限らない。前半の個人作業をグループで行うことも、学力の底上げの一方法」「全般に学習内容が易しすぎる。子どもが学びをなめる」などなど、次のステップに進むためのヒントに満ちていました。

「来年もまた来ます」という佐藤先生の言葉に代表される、セレモニー的要素の全くない研究会でした。文字どおり協同的な学びを進めている応時中の先生たちに、教育を志した者としては嫉妬を覚えるほどでした。一方同じ日に、市内でまことにお恥ずかしい、不祥事を起こす教員が出たことも、悲しいことに小牧市の現実です。信頼を回復するのは容易なことではありませんが、教師と子どもたちとの学びの事実をつくりだすことでしか方法はありません。それを支える教育委員会の役割もまた問われていると痛感しています。

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