教育委員だより No.174

                                                               平成19313

                                        教育長 副島孝

教室の空調論議から

卒業のシーズンである3月は、私たちにとっては議会の時期でもあります。年4回の定例会の中でも、来年度予算を審議する3月議会は、市長の施政方針や会派の代表質問がある最も重要な議会です。教育委員会への直接の質問ではありませんが、環境政策に関連した質問の中で、教室への空調機設置論が主張されました。「環境への負荷など多くの問題はあるにしても、子どもたちの学習や生活の場としての教室を扇風機で解決済みとしているのでは」と指摘されました。

実はこの問題は、私が教育長になってから最も鮮明に印象に残っていることなので、この機会に思い出して書いてみることにします。確か平成13年だったと思いますが、当時の遠山文部科学大臣がタウンミーティングで、教室の冷房を実現したいと参加の保護者の要望に答えたことに端を発しています。文科省は深夜電力を使い、廃熱を出さない方式を検討すると発表しました。これを受けて、実施すると発表する自治体も出ました。

この問題では、新聞の投書欄で活発な議論がなされました。しかし、8割以上が反対論だったのです。しかも、小中学生からの発言が多かったのが特徴でした。また、当時各地で行われていた子どもたちによる会議でも、反対論が決議されたと報道されました。ほとんどの理由は、「教室は暑いけれど、これからの地球環境のことを考えると我慢する」というものでした。

地球温暖化が当時以上に議論されるようになった今ですから、多分この考え方は変わってないのではないでしょうか。費用や発電による環境負荷の問題は未解決です。確かに深夜電力なら電気代は安いかもしれません。しかし、深夜電力は原子力発電の比率が多いと言われています。原発はCO2排出の面では温暖化防止の優等生ですが、廃棄物などの問題は解決していません。さまざまなことを考えた末に、平成15年に近隣に先がけて全教室に扇風機を設置したのです。

普通教室に4台の扇風機は好評で、他の自治体でも導入が続きました。しかし、これで一件落着などと言うつもりはありません。迷った末での決定であり、ベストの選択であったかどうかわかりません。ただ、この件をきっかけにして私自身は、選挙権もなく社会的には発言権の弱い子どもたちの側に立とう、環境問題でも財政問題でも子どもたちの世代にツケをまわすような真似だけはすまいと決心しました。

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