教育委員だより No.180

                                                               平成19516

                                        教育長 副島孝

給食費未納問題の陰で

給食費の未納問題は、今や広く世間に知られる問題になりました。文科省の調査では、全国で年間20億円以上という結果が報告されています。この多くが払えないからではなく、払う気がないからというところにこの問題の根の深さがあります。実は給食費と言いますが、保護者に負担いただいているのは材料費にすぎません。実際の給食には、その倍以上の費用がかかっているのです。

小牧市も例外ではありません。該当の子どもに直接言うわけにもいかず、さまざまな形での督促を続けています。大変な労力を要するだけでなく、実に嫌な思いをしていると、現場からは聞いています。もちろん対応を学校だけに押しつけるつもりはなく、悪質な事例には給食センターや教育委員会の職員も協力して徴収に当たっています。

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』で大ヒットした著者の『食い逃げされてもバイトは雇うな』(山田真哉、光文社新書)には、親父ひとりでやっているラーメン屋が食い逃げを防ぐために雇うのは、費用と収益から考えればやってはいけないことだと、会計士の立場からは至極もっともなことが書かれています。つまり何事も人件費がかかることを忘れるな、というわけです。

ところが、給食費や税金などの問題になると、異論も多いのです。つまり公平性の観点からは、徴収に要する費用が過大になってもやらなければならない、という意見の方が多いようです。しかし、給食費の問題は、実はそうした費用の問題よりも、学校の教育活動そのものに悪影響を与えているという観点から論じる必要があると、私は感じています。また、この問題には、心ない一部の保護者だけではなく、もっと多くの保護者もからんでいるのです。

現在、学校での集金は、かつてのように現金を子どもが学校に持ってくるのではなく、口座振替にしています。お陰で金銭の事故は大幅に減りました。ところが、締め切り日になっても引き落とせない(振り込まれていない)数が、どの学校でも半端ではないのです。学校の事務職員は引き落とし状況を見て、担任経由で未納通知を出します。これを毎月何回も繰り返しているのが実態です。その後も、バラバラと入金してくる状況を調べて、その都度記帳などの事務を行っています。今や事務職員のいちばん大変な仕事だという人さえいます。

本当なら、事務職員は子どもたちのために、学校予算の適切な執行や先生方の教育活動のサポートに労力をかけたいのです。多分遅れてでも入金した方は、給食費未納の話を聞いて、「世の中にはとんでもない親がいるんだなあ」と思っていることでしょう。しかし、遅れての入金も、確実に学校での教育活動に影響を与えるようなレベルに達しています。ひょっとして、今月未納通知をもらったというあなた、ぜひ今後は期限内の納入にご協力ください。こんなことで、我が子の教育に悪影響を及ぼしているなんて、あまりにも残念すぎます。

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