教育委員だより No.182

                                                               平成19618

                                        教育長 副島孝

海外派遣研修の報告から

ここ数年、市内の学校へ海外からの視察訪問があります。小牧市からも応募した先生が、海外の学校視察に出かけています。教員の海外派遣研修は、全国的に激減しているようです。費用の割に効果がはっきりしないなどの問題は、確かにあります。現職の教員が海外研修で何を学べるというのだ、という意見が多いのも理解できます。しかし、私は自分自身の海外教育視察の経験から、想像以上に役に立つ、大げさに言えば自分の教育観や教育実践を見つめ直す機会になると考えています。

もちろん、多くの学校でたくさんの授業を見ることができれば、という条件があることが前提です。訪問する海外の学校を個人的に見つけることは、容易ではありません。そこで、小牧市では数年前から教員の海外研修の前半を、ゴールデンウィークに実施する中学生の海外派遣に併せる形にしています。姉妹都市のワイアンドット市なら、学校での授業参観をお願いしやすいからです。

さて、今回応募した2人は、いずれも国語の先生でした。事前に何をテーマにするかという話をしていたときに、私の方からアメリカではlanguage artsという指導があるそうだ、という話題を出しました。少し前に言語学者で英語教育でも有名な大津由紀雄さんが、第二言語の獲得(外国語の学習)に関連して、language artsについて書かれている次のような文章を読んでいたからです。

日本の国語教育では、ことばへの気づきを育てるための教育が十分になされていません。しかし、たとえば、アメリカではlanguage artsという名のもとに、ことばの仕組みや働きを意識的に捉えるための教育が小学校段階から行われています。「言語力」の育成が教育改革の重要課題として取り上げられるようになってきた今こそ、こうした教育を日本でも学校教育の一部に取り込むべきであると考えます。

2人の先生が何を感じてきたかは、本年度の小牧市海外教員派遣研修の報告を読むとわかります。短期間の訪問ですから、必ずしもlanguage arts(言語技術と訳していいのかどうか。訳していないところを見ると、訳語では表せない内容が含まれているのでしょう)の全体像が理解できたわけではないようです。しかし、国語教育(狭く考える必要はありません。国語の力は国語科だけで育成できるものではありませんから)を考える刺激には、十分なったようです。

目次へ戻る