教育委員だよりNo.195

                                                               平成191122

                                        教育長 副島孝

12歳の可能性

本庄小学校の公開研究会に参加しました。市教委の研究委嘱の発表会でもありましたが、以前からのお願いどおりセレモニーの一切ない、子どもの姿を参観してもらえばわかるという内容の充実した会になりました。筑波大附小の二瓶弘行先生(ほかにも吉良中の石川雅春先生など)の指導を受け、「対話」に重点を置いた国語の授業づくりに特徴があります。

1年生からのペア対話は、今年から市教委の提唱している男女4人の市松模様グループでの学び合いにもつながるものだと感じました。特に低学年のうちは、4人グループにこだわらない方がいいと言ってきたことの裏づけのひとつになりそうです。以前は学級全体での話し合いで授業をやっていたが、全員のもの(全員をバスに乗せる)とするにはペア対話をはさんだ全体対話(一部の子が先生に話す「話し合い」ではない)に変えた、という二瓶先生のお話は説得的でした。

ところで二瓶先生は同時に話す・聴く力をつけるために、「語り」(例えば、詩を暗唱し聴いてもらう)を重視してみえます。本庄小学校でもその実例を見せていただきました。実は6年生の女の子の「語り」を聴きながら思い浮かべていたのが、1992年の環境サミット会場(リオデジャネイロ)で行われた12歳の少女による「伝説のスピーチ」でした。

最近、新聞の記事やラジオなどで、たまたまセヴァン・スズキさん(日系4世のカナダ人だそうです)のことを知りました。少し調べてみて、「伝説のスピーチ」を知ったのです。YouTube(ユーチューブ)で聞き惚れてしまいました(何かと問題点を指摘されることの多いICTの発達ですが、こんなに簡単に映像つきで見ることのできる世の中はありがたいと思います)。

ついでに英語原文も読んでみましたが、わかりやすく、しかもしっかりした文章で感動しました(中学生なら読めるのでは?)。もちろん12歳の少女の発言を絶対視することはできません。大人なら別の側面からの反論もできるでしょうし、本人も今なら違う呼びかけ方をすることでしょう(彼女は現在も環境問題に積極的に取り組んでおり、今回の日本訪問もその活動の一環です)。でも、12歳にしかできないスピーチだからこそ、駆け引きの場と化した会場を沈黙させた力となったのでしょう。

「1年生だからこんな程度ではなく、1年生だからこそできる」「12歳だからこんな程度ではなく、12歳だからこそできる」という視点を忘れてはいけないと思います。「子どもの可能性」という言葉を安易に使わない人を、私は尊敬します。しかし同時に、「子どもの可能性」を追求する人を、もっと尊敬しています。

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