教育委員だよりNo.205

                                                               平成20321

                                        教育長 副島孝

妙手を考える

3月はたいていの人が忙しくしています。年度末のまとめをしなければならないからです。おまけに人事異動の時期でもあります。1年間でたまった書類も来年度必要なものだけにして、あとは保存文書にするか廃棄しなければなりません。そんなときに、新たな報告書が届くなどというのは最悪です(でも、行いがちなことです)。

PDCAあるいはPanDSeeの評価を、年度末だけのものとしない工夫をするべきだと思います。もちろん単年度予算の制約がありますから、自由にはなりません。だからこそ、年度末に集中しない努力をしないと、あまり意味のない形式的な評価に終わる可能性が強くなります。

こんなことを改めて考えたのは、『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』(光文社新書)を読んだせいかもしれません。もちろん『食い逃げされてもバイトは雇うな』の続編です。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』でベストセラーになった、公認会計士・山田真哉の本です。軽い感じの本を書くことの多い著者にしては、やや重みのある本です。会計的な行動だけではビジネスを語れないなど、納得できる点が多くありました。

現実に即すべき企業でも、「計画」と「効率化」は、事実だけれど正しくはない禁じられた数字を生み出しやすい、と書かれています。一度立てた事業計画に引きずられて、ビジネスの自由が奪われてしまう。個人目標の達成度を測る成果主義の評価なのに、仕事の内容より結果の数字を見てしまう。長期的な利益を考えない費用対効果論の結果、目先の利益にとらわれて失敗する効率化に陥る。こういうことが起こりがちだと指摘します。

だからといって、計画なんて必要ないとか、評価なんて意味がないなどというのは短絡的です。非効率や長期的なことだけを追っても、目の前の問題の解決にはつながりません。ここで著者は、「大切なのは、ギリギリまで相反する両者を満たす解決策、『妙手』を考えることなのです」と提案します。ビジネスでも、生活でも、大事なのは、単一の視点でなく、複数の視点を持つことだと説きます。具体例も含めて、大いに参考になりました。

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