教育委員だよりNo.206

平成2044

教育長 副島孝

辛い年度初め

年度初めは、本来なら新たな気持ちでスタートしなければならない時期です。それがこのようなお詫びの文章から始めなければならないのは、非常に残念でなりません。この1週間は、先月末に発覚した不祥事によって、後始末と臨時校長会や緊急点検に追われる毎日となってしまいました。やっと決着のつく状態にまでたどり着き、本日免職処分が発令され、記者発表を行いました。学校での集金に手をつけるという、申し開きのできない事件で、該当校の保護者や市民の皆様にはお詫びのしようもなく、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

とりわけ人間としての生き方を含め児童生徒を教育する場である学校で、たとえ直接的な教育者ではないとは言え、学校職員がこのような不祥事を起こしたことは、痛恨の極みです。再発防止に全力を傾注する覚悟です。これまで考えられてきたチェックでは防げなかったわけで、今後学校はもちろん教育委員会も含めた新たなチェック体制を講じることになります。信頼で成り立つ職場の人間関係とはいえ、職務に関してはシビアにチェックするという基本に立ち返らなければと改めて痛感しています。

二度とこのような問題を起こさないためには、以下のような遠因から考えなければならないと私は感じています。今回の当事者は市費負担職員でしたが、市立小中学校の教職員のほとんどは、県費負担の職員です。したがって最終的な人事権は県教委にあります。しかし県費負担教職員といえども、服務監督は市教委の責任となっています。しかし、往々にして市教委は県費負担の職員だからと遠慮し、県教委は市教委の責任だとして、結果的に学校任せとなりがちです。

教育活動の面に関しては、どの市教委も学校の独自な取組を認めることも含め、積極的に関与しています。しかし、事務活動なかでも市費以外の会計の経理については、あまり関与してこなかったのが実情です。実は数年前から学校訪問に、指導主事だけでなく学校教育課の職員も交代で参加しています。昨年からは、庶務課の職員も加わりました。これは、市教委の職員は学校の事務活動の実情を知る必要があるとの考えからです。ただ具体的な手だてにまでつながるような状況ではありませんでした。その矢先に今回の不祥事が発覚しました。

今回本人だけでなく私も処分を受けたのは、具体的な予防策をとれなかった責任を問われたのだと受け止めています。改めてつくづく感じたのですが、全国各地で同様な事件が起きています。一度起きたのと同様の事件が10年20年すると繰り返された例もあります。どこに問題があったのか、どのようなシステムをとる必要があったのかを再点検し、個人に頼るだけではないダブルチェックが可能な改善策をつくります。もちろん市教委も毎年責任を持って、それが実施されているかをチェックしていきます。

改善策を実行するために、予算を含めた新たな措置が必要となるかもしれません。よいシステムを作れば再発が防げると考えるのは、あまりにも楽観的すぎます。システムと職業倫理の両方がないと、完全に防ぐことはできません。こういう不祥事から出発しなければならないのは辛いことですが、この教訓を生かすことで災いを福に転じたいと考えています。

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