教育委員だよりNo.220                                                                                            

平成2092

教育長 副島孝

2つの図書館の視察

先月末に小牧市教育委員の視察で、2つの図書館を訪問しました。埼玉県口市中央図書館東京都北区立中央図書館です。両方で説明を聞き、施設を見せていただいたことで、比較検討ができ、より一層理解が深まりました。

川口市立中央図書館は、平成18年7月に開館した駅前の再開発ビル(最上階の8階には保育園が設置されているという複合施設)の5,6階という、普通には不利な条件の立地です。そのうえ専用駐車場はなく(共用の市営地下駐車場100円/15分、ただし30分は無料)、専用駐輪場もない(駅近くには有料駐輪場などはあり)ということです。しかし、中央図書館だけでも年間120万人以上(1日平均4000人)の入館者があり、7階のメディアセブン(映像・情報メディアセンター)と併せビジネス支援への対応も十分です。

東京都北区立図書館は6月にオープンしたばかりの、旧陸上自衛隊駐屯地(さらに過去は東京砲兵工廠銃包製造所)の赤レンガ倉庫とモダンな建築を組み合わせた施設です。こちらは駅から少し離れており、私たちはコミュニティバスで行きました。こちらも駐輪場は300台分ありますが、駐車場は有料(200円/30分、ただし30分無料)が22台分あるだけとのことです。それでいて1日平均3000人の来館者でにぎわっていました。

両館とも、担当者の方には時間をオーバーしてまで説明や見学をさせていただき、図書館の建設や運営にかける想いを感じました。ところで入館者数がわかるのは、入口のゲートを通る人を自動的にカウントするからです。このゲートはBDS(図書検知システム)設置で、貸出手続きをしないで持ち出すとアラームが鳴る仕掛けになっています。そのため両図書館とも、返却カウンターが入口の手前にあります。これらは、すべての資料に電子タグが付けられているということを意味します。

共通する点が多く、これらは成功するこれからの図書館の条件とも言えそうです。見渡せる程度に高さを抑えた開架書架と、実際に手にとってみることのできる集密的な開架書庫(北区は公開書庫)の組合せ。調べもの席・読書席・学習席・パソコン対応席など、同じような目的の人に独占されにくく工夫された450席以上の座席。中高生向きの書籍等を集め、多少声を出しても他のコーナー利用者にじゃまにならないようガラスなどで区切られているヤングアダルト(YA)コーナー。車椅子でも利用しやすいなど障がい者向けの配慮、また視覚や聴覚に障害のある人向けのサービスの充実など、共通する点が多いことに気づきました。

もちろん違いもあります。蔵書の増加に備えた閉架書庫は、川口では自動化されたものですが、北区は電動書庫ではあるものの自動化書庫ではありません。また自動貸出機の設置は共通していますが、両館のシステムがかなり違うことに逆に興味をそそられました。しかし、どちらもバックヤード(図書館は想像以上にスタッフの作業スペースが必要)は、しっかり確保されていました。

川口市は約50万人、北区は約30万人の人口ですが、どちらも理想的な土地があって図書館が建てられたわけではありません。今回の視察で、図書館は工夫次第でこれまでのイメージを破った集客力のある施設になりうるのだと確信することができました。子どもと主婦、お年寄りだけでなく、障がいのある方、中高生や大学生、各年代の働いている人まで、幅広い年代の利用者がいました。その姿をお互いに見ることによる効果も想像できました。

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