教育委員だよりNo.258                                                                                            

平成211211

教育長 副島孝

「生涯学習」と「市民協働」

学校教育の分野では、さまざまな方策がつながりを生み、相乗効果が見られるようになったと、先回書きました。それに対して、生涯学習の分野では、とても相乗効果という段階には至っていません。歴史などの文化財的な資源(リソースと呼ぶことがよくあります)や大学や企業に代表される文化資源の活用も進みましたが、まだまだ十分とは言えません。もともと「生涯学習」は、行政が意図的に行う「社会教育」よりはずっと広い概念の活動です。むしろ、民間や個人、グループの自主的な活動を前提としています。

また、生涯学習では学んで得た知識や技能を個人で生かすだけでなく、周囲に還元していくサイクルを作り出すことも重要な視点です。その意味では、よく言われる「市民協働」の観点が重要になります。行政が行う範囲は、自ずと限られます。行政が企画したり支援したりするものだけが目立つうちは、本物の生涯学習とは言えないのかもしれません。市の文化行政に企画から関わるという、市民協働が言葉から具体的な活動に結び付くための取組みもすすめています。だいぶ方向が見えてきたところです。

小牧市では教育委員会が生涯学習を担当している関係上、子どもたちの文化やスポーツ向け事業には力を入れてきました。ジュニアセミナージュニア育成は、ジャンルの広がりも含めて、少しずつ実を結びつつあります。この分野で特筆できることは、指導者の輪が確実に広がってきていることです。かつては学ぶ立場であった方が、現在は指導者として活躍されている姿は頼もしいものです。

文化やスポーツの面で、各種の市民講座から育ったグループや自主的に立ち上げた団体が、活動の輪を広げています。しかし、本当の意味で自立した組織となるのは、容易なことではありません。補助金や使用料の減免の問題も、古くて新しい問題です。新たに活動を始めようとする側から見れば、既存の団体は既得権を主張して参入を阻んでいるように思えるのかもしれません。そういう中で、組織の新陳代謝の問題を含めて、協調し合う雰囲気が出てくることを期待しています。

各種の事業がつながる兆しも、いくつか見えています。地域3あい事業は、今や生涯学習の範疇にとどまらず、地域づくりの側面が強くなってきています。小牧市民大学こまきみらい塾は、学ぶ者と企画する者がうまくつながった成功例だと思っています。つながる方策として「生涯学習情報ガイドこまなび」「学びノート」を整備してきました。悪くない方法だと自負はしていますが、まだまだ効果をあげるにはほど遠い段階です。

生涯学習の拠点の整備も、残された課題です。情報の拠点としての図書館や生涯学習センターの方向性は定まりましたが、実現はしていません。しかし、活動の実績がともなってこその施設です。施設ができなければ活動は望めないと言うなら、それは単なる箱物でしかすぎません。歴史と文化を基盤として、市民活動を組み合わせていく方向が大切です。そういう意味でのグループや個人が育ってきていますので、つながり合うのは目前だと感じています。

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