教育委員だよりNo.260                                                                                            

平成211224

教育長 副島孝

「90%主義」で

今年度から10年間の小牧市政の指針である「第6次小牧市総合計画」は、項目ごとに数値目標が明示されています。学校教育の分野の一つに、「学校が楽しいと感じる子どもの割合」が設定されています。その数値は、驚くことに91%です。計画を策定するための基礎調査で90.9%であったので、下げるわけにはいかないと91%にしたというものです。

90%(小牧市は91%ですが)という数値は、教育の分野では(教育以外の分野でも、と思っているのですが)かなり意味のある数値です。私は若い頃から板倉聖宣氏の影響を受けて、「90%主義」ということを言っていました。すべての子どもがということを願ってもよいが、90%の支持があればよいという考え方です。それ以上の結果を求めると、非教育的(非人間的)な強圧的な方法をとったり、迎合的になったりする可能性が強いからです。政府が99%の国民から支持を受けているなどという国を、誰も民主的な国だとは思わないでしょう。

県内のある小学校が、学校の数値目標として、「1年間に全員の子が50冊の本を読む」と並んで「学校が楽しいと感じている子が90%」を挙げていました。この学校はよくわかっているなと感じました。とてもハードルの高い目標だが不可能ではない、達成する価値のある目標だからです。その意味で、小牧市の子どもたちからの90%の評価は、とてもうれしく思います。ちなみに、今年度の調査結果は92.3%でした。

しかし、私は同時に一抹の不安も感じています。それは、90%も満足しているのだから、あと少し頑張って100%に近づけるようしたいという「100%主義」の動きが出てくることです。全員が満足してはいないという事実を、重く受け止めることは大切です。だからこそ、10%近くの必ずしも満足していない子がいるのだ、という気持ちをもって指導に当たることが大切なのです。子ども一人ひとりを見ようというのは、こういうことを指しています。

後任の教育長が教員出身者でないことについて、私個人はそれほど心配していません。多くの教育長と接してきましたが、出身で差があるとは思いませんでした(人物によって差があるとは感じましたが)。私は決して学校の味方をしてきた積もりはありません。むしろ、学校や先生方にはかなり厳しいことを求めてきました。

教室の中での授業実践という、個々の先生や学校に任せてもよい(任せるべき、とまでは考えませんが)ことにまで、手を突っ込んできました。自分としてはかなり自覚的に、権力的にならないように慎重な手だてをとってきた積もりですが。以前と比べれば、市教委の学校教育課もずいぶん充実してきました。小牧市の学校や先生方も、何を大事にしなければならないかは十分理解してくれているはずです。校長をはじめとする先生方を、私は信頼しています。

明日からは、勤労学生から普通の大学院生になります。授業研究を基本とした学校づくり、なかでも研究協議会での教師の学びをテーマとしています。どこかの教室で授業を見ていたり、授業後の研究協議会に参加していたりする姿を見かけるかもしれません。不審者などと思わず声をかけてください。長い間のご協力、ご愛読ありがとうございました。

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