学校日記

3/19 卒業証書授与式3:校長式辞

公開日
2025/03/19
更新日
2025/03/19

校長室

式 辞

 陶地区特産の桃のつぼみも少しずつ膨らみ出し、また、周辺の草花、昆虫など、小さな生き物たちも動き始めるなど、春の息吹の到来、そして門出の時を感じさせる季節となりました。

 本日ここに、小牧市立陶小学校第四十回卒業証書授与式を挙行するにあたり、小牧市教育委員会から教育次長矢本博士様、上末・下末・高根の各地域の区長様を初めとする多数の来賓の方々、そしてたくさんの保護者の皆様にご臨席賜りました。誠にありがたく、御礼申し上げる次第です。

 さて卒業生三十四名のみなさん、ご卒業誠におめでとうございます。いよいよ新たな世界へ出発する日がやってきました。陶小六年間、自分の、そして仲間との様々な出来事を思い出し、感慨に浸っていることでしょう。また、中学校生活への希望をもち、胸が高鳴っていることでしょう。

 私が皆さんと出会ったのは、コロナ禍が開け始めた二年前、五年生の時です。スタートし、まもなく野外学習の準備が始まりました。さまざまな勉強や活動の中で、がんばろうとはするものの、毎日のごとく、お互いの感情がぶつかり合い、時にもめたり、涙する子が現れたりと、立ち止まる場面も少なくはありませんでした。どうしたらみんなで仲良くできるのだろう。どのようにすれば心が通じ合うのだろう。そんな気持ちを経験した人もきっとあったのではないでしょうか。

 そんなとき、いつもクラスの誰かが優しい言葉をかけたり、悲しんでいる、怒っている仲間の気持ちを感じて寄り添ったりしていましたね。担任の先生の言葉にみんなで耳を傾け、一つ一つの困難を丁寧に乗り越える中、一歩一歩、ゆっくりゆっくりと階段を上るようにパワーアップしていきましたね。

 六年生になると、伸びていく速度は増していきました。そこには、自己の甘さを克服しようとする姿がありました。また、互いを認め合い、高め合う中で、次第に最上級生としての自覚の高まりがありました。修学旅行や運動会で、下級生と関わりの中で、また、日常生活の中でみなさんの成長ぶりが伺えました。

 図書室前の掲示コーナーに、担任の先生がしたためた、そしてみなさんに贈ったこんな言葉があります。

"一生懸命だと知恵が出る。中途半端だと愚痴が出る。いい加減だと言い訳が出る。"

これは、戦国大名武田信玄の名言の一つです。この言葉の如く、困難にぶつかっても、投げやりにならず、必死に努力を積み重ねてください。

 この陶地区は、太古の昔より、支え合いと思いやりの伝統があります。たくさんある中で二つだけ紹介します。

 四十年前陶小建設の時、この体育館の真横に窯場の跡が見つかりました。この地域は千年以上前から須恵器などの焼き物の一大産地であり、多くの方が長きにわたり、皆で力を合わせて生きてきた地域であることがわかっています。また、学校の西方を流れる旧入鹿用水は、入鹿池をつくった代表的人物「入鹿六人衆」のうち陶地区出身の二人の方を筆頭に開かれたものです。彼らは、尾張東部の水不足の解消のためにたくさんの人を救った英雄であったことも有名なお話です。

 皆さん、このような努力と助け合いの伝統ある陶地区出身者として誇りをもち、堂々とこの先の人生を歩んでほしいと思います。

 今回は節目の四十回目の卒業式。四十年前、この小学校創立の折にも、地域のあまりに多くの方々のご尽力があり、開校に至ったと言うことを聞いております。以来四十年間、ずっと地域の皆様、保護者の皆様に支えられ続けて、本日に至っております。ここで改めて感謝申し上げます。

 終わりになりましたが、保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様の小学校生活のうち約三年は、コロナ禍に見舞われ、多くの制約を受けた日々が続く中、多大なご理解とご協力を賜りました。六年間、皆様のお支えがあって、子供たちは、今日の晴れの日を迎えることができました。本当にありがとうございました。

 先の見通しの立ちにくいこの時代を、努力すること思いやりを持って人に接することなど変わることのない大切な価値観を土台にして、豊かな人生を歩んでくれることを教職員一同心より願っております。

 卒業生の皆さん全員の今後の人生に心よりエールを送り、式辞と致します。

        令和七年三月十九日

                        小牧市立陶小学校長