人形劇の不思議さ 【校長日記】 11/2
- 公開日
- 2017/11/02
- 更新日
- 2017/11/10
校長室
観劇後、教室に戻った1年生は、担任の先生に「おもしろかった」「おもしろかった」と話し始め、大騒ぎだったそうです。2年生の教室では、給食の時間に劇の話で持ちきりでした。また、4年生もいろいろな感想を聞かせてくれました。下校の時、劇の話題で盛り上がる高学年の姿も見ました。
今年の「芸術鑑賞会」は、人形劇団「むすび座」さんの演じる「アラビアンナイト」を観ました。子どもたちが言うようにとてもおもしろく、低学年も高学年も大人さえも夢中になり引き込まれた、あっという間の1時間半の観劇会でした。
人形劇「アラビアンナイト〜魔法のランプと明日のヒカリ〜」は、脚本や役者さんの演技力はもとより、舞台装置、音楽、照明など全ての演出が効果的に駆使され、とても完成度が高い作品です。私自身、今までに味わったことのない感動を覚え、「むすび座 恐るべし」と独りごちていました。
観劇会を通じて、感じたことを2つ記します。
まず、1つ目に人形劇についてです。これは「人形」劇です。その「人形」が人形遣いの手にかかると、いのちが吹き込まれ、感情が生まれ喜怒哀楽を表します。まるで、魔法をかけられたかのように。照明の使い方も上手いのでしょうが、黒子の人形遣いの姿が、視覚から消えるのです。写真を見ると、何だか人がいっぱいいるぞ(1体の人形を3人がかりで操るので当然です)と思うのですが、劇中では全く気になりません。それどころか、ないはずの表情まで見えてくるから不思議です。
もちろん、人形遣いの方の技術と連携があるからこそには違いありませんが、それを「むすび座」さんは「観客が自らの想像力を働かせて観ているから」と説明されます。子どもたちの感想にも「人形が生きているようだった」というのがありました。それは、その子が自分の想像力で補っているからに他なりません。逆に言えば、人形劇には「想像力を育む力」があるということです。これは1つの発見でした。
2つ目に、やはり「生はいい」ということです。テレビや映像と違い、目の前で演じられる「生」は、役者さんの息づかいが聞こえ、体温が感じられ、迫力があります。今回も「生の演劇」を通して、子どもたちには学びにつながるたくさんの気づきがありました。「棒を使ってランプの魔人を大きく見せていたよ」「白い布は、煙や風をあらわしていたね」「足の位置がみな同じだった」……低学年の子が気づいたことです(物言いは少し違いますが)。これらの気づきは、目前で演じられたからこそのものだったでしょう。
「想像力は人を思いやる心の源であり、自らの人生を切り拓く力となる」ーパンフレットに書かれたこの言葉は、人形劇を観てストンと胸に落ち、また次の公演を観るのが楽しみになりました。(2017. 11. 1.)