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「第2回ゲスト道徳」で大人の学び(1)

公開日
2014/05/09
更新日
2014/05/09

管理人室

5/8(木)向宇希さんをお招きして「第2回ゲスト道徳」が行われました。

向さんは、昨年12月の人権集会でご来校いただき、そのときにも2年生(現3年生)のクラスで「スペシャル・道徳授業」をしてくださいました。

今回は、2年3組、2年1組、2年7組の3クラスで、校長先生や長岡先生とともに、道徳授業をされました。
2年3組の授業を参観させていただいて感じたことをまとめました。


「向さんの歩んできた道」

2年3組の授業では、校長先生が向さんにインタビューをしながら、向さんの人生を振り返っていきました。

向さんは、小学2年生で小児がんを患い、3年間の入院治療を余儀なくされました。
鼻にできるがんで、当時は子どもの症例は世界でもとても珍しく、つらい治療に耐えたそうです。
治療が功を奏し、退院することができ、小学6年生から再び学校へ通えるようになりました。

しかし、中学校では「いじめ」にあってしまいます。

小学校時代の入院治療の結果、向さんには「髪の毛がなかった」「体力がなかった」「学力が低下していた」ということがあり、それがいじめにつながってしまったのです。
また、向さんがいじめに「抵抗した」こと、「外見が幼かった」なども、いじめの原因になっていたそうです。

言葉でからかわれるのはもちろん、頭に消しゴムを投げられたり、叩かれたり、とてもとてもつらい思いをされたそうです。

「自分がもしこんな状態なら、どう思う?」と校長先生が生徒に問いかけました。
全員が「学校に行きたくない」と答えました。
でも、向さんは学校へ行き続けたのです。


●なぜ学校を休まなかったのか?

校長先生は、生徒に「向さんは、こんなにつらいいじめにあっていて、どうして学校へ行ったのか?なぜ休まなかったのか?向さんの気持ちになって、考えてごらん」と指示をしました。

子どもたちからは、たくさんの意見が出ました。

「仲間がいたから」
「学校が好きだったから」
「いじめに負けたくなかったから」
「支えてくれる人がいたから」
「遅れていた勉強や運動で追いつきたいから」
「いつかは楽しい学校になると信じていたから」
「夢があったから」・・・


向さんの答えは「親」「仲間」の支えがあったから、でした。

どうしてもつらくて学校を休んだ日、向さんの両親も仕事を休んでくれて、向さんの話を黙って聞いてくれたそうです。
そして一言「宇希は、何か悪いことをしたの?」と言われたそうです。
その一言で「自分は病気なっただけで、何も悪いことをしていないのだから、堂々としていればいいんだ」と思えて、気が楽になったそうです。

そして、学校では支えてくれる仲間たちがいて、クラスで「どうしていじめが起きているのか」ということを話し合ってくれたそうです。
みんなが、真剣に向さんのことを考えてくれて、守ってくれたことが、とてもうれしかったとおっしゃっていました。


生徒たちは、きっと「自分は友達を守ってあげられるだろうか?」「友達は自分を守ってくれるだろうか?」と自問自答したでしょう。
そして、「親の気持ち」についても、少し考えてみてくれたのではないでしょうか。
こうして、中学生だった向さん自身や、向さんのご両親のことを想像することで、自分との違いに気付き、他人の気持ちに気付くことができるのですね。