★10/6 第2回 ミニミニ講演会(2)〜校長先生編〜
- 公開日
- 2014/10/10
- 更新日
- 2014/10/10
管理人室
「ミニミニ講演会」のまとめの第2回、「校長先生編」です。
校長先生は、三品先生のお話が予想外に早く終わってしまったので、まだ話すことを頭の中で整理している途中だったようですが、続けてお話に入っていただきました。
さすがは校長先生です。そんな慌てたそぶりはみじんも見せず、ご自身が体験された病気についてのお話をしてくださいました。
●ナゾの病気
校長先生は、5年ほど前に「食道アカラシア」という病気になりました。
10万人に1人くらいしか患者がいない、珍しい病気です。
この「食道アカラシア」という病気は、食道と胃をつなぐ部分の筋肉が動いていないため、食べたり飲んだりしたものが胃へ送られずに、吐き戻してしまうそうです。
校長先生も、夜中、寝ているときに水分が逆流して口の中にたまり、何度も起きて洗面所へ行ったり、着替えたりしなければならず、睡眠不足から体調を崩してしまったそうです。
病院へ行っても、詳しい病名などがわからず、ずいぶん苦しい思いをされたようです。
何かの病気であることは体調が悪いことからわかりますが、それが何かがわからないのは、とてもつらいことだったでしょう。
●ネットで病名を知る
そんな校長先生の症状を心配して、奥さまがいろいろと調べてくださったそうです。
すると、ネットで「食道アカラシア」のことが書かれたブログを見つけられて、その症状が校長先生のものとぴったり同じだったことで、病気のことがわかったのだそうです。
近くの病院でわからなかったことが、ネットでわかるとは、ネットは便利でありがたい情報源です。
さらに、横浜に、食道アカラシアの新しい治療法に取り組んでいる先生がいる、ということもネットで知ったそうです。
それまでは、食道アカラシアの手術はとても難しい手術で、成功しても一生薬が手放せなく、と言われていたそうです。
それを、昭和大学横浜市北部病院の井上晴洋先生(現在は、昭和大学江東豊洲病院 消化器センター・センター長)は、開腹手術ではなく、内視鏡手術で行い、患者の負担がとても軽くすむのだそうです。
ただ、この治療法は「治験」の段階で、世間に認められた方法ではない、というリスクもあったそうですが、校長先生はチャレンジすることに決めたそうです。
世界で15例目の手術だったそうです。
●先生は「実験台」
「治験」であるため、なんと手術費用は無料!(入院費用は自己負担)
ただし、校長先生の手術は終始録画されて、公開される。また、その後の経過についてもデータをとらせてもらう、ということは条件だったそうです。
そのため、本来なら、術後の食事は「全がゆ」から徐々に濃くして様子を見るのですが、調子がよさそうな校長先生の様子から、次の日にはいきなり「半がゆ」にアップされたりしたそうです。
退院後、お酒を飲んでもいいけど、どうだったか報告してね、と言われたそうで、まさに「実験台」ですね。
それでも、その後の経過はすこぶる順調で、診察も退院して1ヶ月後に一度受けたきりなのだそうです。
●助けられた命を大切に
校長先生が、入院中に主治医からかけられた言葉が、今も心に深く残っているそうです。
「玉置さん、あなたは井上先生に命を助けられましたね。その命を大切にしてくださいね」
本当にそうだ、これからは精一杯生きよう、と感動していた校長先生でしたが、そのあとに井上先生に言われたのは「玉置さん、死ぬなら他のことが原因で死んでね」という言葉だったそうです。
ここでも「実験台」だということがわかりますが、やはり井上先生は「命の恩人」だと感謝している、と校長先生はおっしゃっていました。
●同じ病気で苦しんでいる人のために
校長先生が、井上先生から言われたことが、他にもあるそうです。
それは「宣伝してね」ということだったそうです。
校長先生が、ネットを通じて病気を知り、井上先生の治療を受けられたのと同じように、他の食道アカラシアの患者の人たちにも、ぜひ知ってもらいたい、自分の体験をぜひ役立ててほしい、という思いがあり、校長先生は「食道アカラシア入院日記」をブログで発信されています。
これを見て、これまでに2人が訪ねてこられたそうです。
そのうちの1人は小牧在住の方だそうで、校長先生は「食道アカラシアは10万人に1人の病気です。小牧の人口は15万人。私とその方で、もう小牧の分の病気は引き受けましたから、皆さん安心してください」とおっしゃって、皆さんの爆笑を誘っていました。
今の元気な姿からは、そのような大病を患っていたことは想像もできませんが、誰かの役に立つかもしれないと、いろいろな場所で闘病の話をされているそうです。
元気になったからこそ、笑い話にもできます。
毎日が激務の校長先生ですから、くれぐれも体調を崩されないように気を付けていただいて、どうかこれからも小牧中の子どもたちの成長を見守っていただきたい、と心から願っています。
貴重なお話を、ありがとうございました。
※【玉置先生の食道アカラシア入院日記】はこちらをご覧ください。