2024年12月までの記事メニュー

2024年12月までの記事

★「第11回ゲスト道徳」で大人の学び(2)

公開日
2015/02/26
更新日
2015/02/26

管理人室

「第11回ゲスト道徳」のまとめの第2回です。(最終回)


●なぜ、満足していないのか

救急救命士になるためには、試験に合格することはもちろん必要ですが、その前に実務経験が必要になります。
さらに、各消防署に毎年割り当ての人数があるそうで、勉強するためにも順番待ちをしなくてはならないそうです。
10年前、田島さんは「救急救命士」の資格を取得されました。
初めて「救急救命士」として救急車で出動したとき、現場では心肺停止の患者さんと、必死で心臓マッサージをしている息子さん、奥さんがいらしたそうです。
田島さんたちがAEDを使って処置をした後、病院へ搬送されました。

幸い、その患者さんは一命をとりとめたそうで、後日、ご夫婦そろって消防署へお礼を伝えに来られたそうです。
そこで、田島さんは奥さんから「本当にありがとうございました。あなたは命の恩人です」と言われたそうです。
その奥さんの気持ちはよくわかりますね。ご主人が助かって、本当にうれしかったと思います。

何度も頭を下げて「ありがとうございました」という二人に、田島さんは「助かって、本当によかったな」と思ったそうです。
しかし、満足はしなかったそうです。
普通、自分が人の命を助けて、その人が助かってお礼を言いに来たら、「自分はいいことしたな」と満足すると思うのです。
でも田島さんは満足はしなかった。それはなぜだろうか、ということを、子どもたちは想像しました。

・仕事だから当然だ
・助かったのは、自分の力だけじゃない
・助けることは、当たり前のこと
・救命士としての使命感があるから
・全員の命を助けたいと思っているから


●目標を高く持ち続ける

子どもたちの意見を聞きながら、田島さんは「そういう思いもあったかもしれないと気付いた」とおっしゃいました。
これまで漠然と思っていたことが、子どもたちの意見によって、見える形になったのかもしれませんね。
「なるほど」とうなずきながら聞いておられました。

田島さんが「満足していない」のは、「満足してしまったら、それ以上の成長はない」と考えておられるからです。

救急車が出動しても、すべての患者さんが助かるわけではありません。手遅れの場合もあります。
しかし、田島さんは、「もっと自分の力を上げれば、助かる人が増えるかもしれない。そのために、もっともっと勉強して、成長しよう」と考えて、勉強を続けておられます。
たしかに「人を助けるのが仕事」ではありますが、常に「もっとよくなろう」と努力をされるのは、たいへんなことだと思います。

子どもたちは、田島さんのお話しから「高い志を持つ」ことの大切さを学んでくれたことでしょう。
人命救助に直接携わらなくても、何かしら人の役に立てることはあります。
子どもたちには、「人の役に立ちたい」という田島さんの思いも、忘れないでいてほしいと思っています。


大災害の現場の貴重なお話しを聞かせてくださった田島さん、授業をしてくださった校長先生と長岡先生、本当にありがとうございました。