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★「第12回ゲスト道徳」で大人の学び(2)

公開日
2015/03/03
更新日
2015/03/03

管理人室

「第12回ゲスト道徳」のまとめの第2回です。(最終回)


●なぜ、修行するのか?

落語家になりたい!と決意したしん吉さんは、師匠となる桂吉朝さんに弟子入りを直訴します。

断られても断られても、何度も足を運んで、ようやく入門が許されました。
入門すると、すぐに3年間の住み込みの修行が始まりました。

師匠によって、修行の方法はいろいろあるそうですが、今でも師匠のお宅に住み込みで修行する、昔からの習慣が残っているのが落語界です。
衣食住をともにして、師匠の身の回りの世話をしながら、たまに(月に一度あれば多い方)稽古をつけてもらう生活だったそうです。

「どんなことを修行したと思うか、想像してごらん」という先生の問いかけに、子どもたちは想像しました。

・精神力を鍛える
・敬語の使い方を学ぶ
・見て覚える
・コミュニケーションの取り方
・これくらいのことができなければやっていけない
・自分たちの生活や経験が、話や芸の役に立つ
・生活リズム
・師匠の動き
・人間性
・表現力
・師匠へのお礼の気持ち


●「恩返し」

しん吉さんは、「師匠への恩返し」の気持ちで修行に励んでいたそうです。

師匠は、財産である自分の芸を、すべて無料で弟子に授けてくれるのです。
弟子は「タダで」師匠の財産をもらうことができる、そのことに深く感謝し、「恩返し」の気持ちを持ったそうです。

落語は口伝えで教わる芸ですから、弟子は、師匠の「まね」をすることで落語を学びます。
まねをして、稽古を積んで、「いつか師匠を超える落語家になる!」という目標を持っているのかと思いきや、しん吉さんの答えは意外なものでした。

「弟子は、師匠を越えられないと思います」

「弟子にとって師匠は、大きな大きな山です。あこがれにあこがれた師匠なので、近づきたいと努力をし続けます。でも師匠の山の頂は、いつでもはるかかなたにあります。だから、いつか頂点にたどり着きたいという気持ちで、いろいろなルートを探しながら登るんです。一生修行だと思います」

皆さんは、このしん吉さんの言葉を聞いて、どう思われたでしょうか。

人生の中で、そのように心から尊敬し、あこがれて、あの人に追いつきたい、と思える人で出会えることは、なかなかないことですよね。
そのような機会に恵まれたしん吉さんが、ちょっぴりうらやましく、まぶしく見えた「ゲスト道徳」でした。

そして、これからを生きる子どもたちには、ぜひそんな人物との出会いがありますように、と心から願っています。


全12回にわたって行われた「ゲスト道徳」では、多彩なゲストをお招きして、子どもたちにさまざまな人生に寄り添う機会を作っていただけました。

いつもの道徳授業では、資料を使って、登場人物の心の動きを読み取ることが中心でした。

しかし「ゲスト道徳」では、「本物」が目の前にいて、自分たちが考えたことに、その場でコメントをしてもらえます。
そして、ゲストの本意を、直接聞くことができます。
子どもたちにとっては、想像するのが難しいこともあったことと思いますが、真剣に考えた分、ゲストの言葉を素直に聞いて受け止めている姿が、どの授業でも見られました。

また、参観させていただいた大人にとっても、他人の思いを聞く機会はなかなかありませんから、それぞれのゲストの思いを伺いながら、いろいろな人生を教えていただく、すばらしい機会になりました。

授業にご参加いただいたすべてのゲストの皆さまに、心から感謝いたします。

そしてすべての授業で、子どもたちの心をしっかり耕してくださった校長先生と長岡先生にもお礼を申し上げます。
ありがとうございました。