「ごんぎつね」の授業 ー6年生とー 【校長日記】2/20
- 公開日
- 2020/02/20
- 更新日
- 2020/02/20
校長室
今週、6年生と「ごんぎつね」を読む機会に恵まれました。
「ごんぎつね」とは、ご存じ新美南吉の名作中の名作で、国語の教科書に昭和31年から実に63年間も掲載されています。現在では、日本で使われているすべての4年生の国語の教科書に載っています。きっと保護者の方も、ひよっとしたらお祖父ちゃんお祖母ちゃんも、学校で習ったことでしょう。超ロングセラーの物語です。私が大好きな話です。
朗読の後、最後の六場面を読み描きました。ごんから兵十への視点の転換を確認して、悲劇を招いた兵十の行動をなぞりました。例えば、火なわじゅうのつつ口から出る「青いけむり」の「青い」が意味するものを話し合いました。いろんな意見が出ました。クラスによって多少の違いはありますが、「悲しみ」「ごんの死」「兵十の後悔」「別れ」などが出ました。「細く」と、頼りなげな描写に注目した子もいました。
「この後、兵十はどうするか」を考えました。授業で一番取り上げたかった問いです。テキストにはもちろん書いてありません。想像します。「嘆き悲しむ」「後悔する」「ごんのお墓を作る」「花を供える」「彼岸花の近くに埋める」……感性豊かな意見が出ます。
「で、それから?」私は、さらに想像を促します。村人に対しては?「ごんのことを話す」「ごんの優しさを伝える」「自分の後悔の気持ちを話す」……なるほど。反対に「秘密にしておく」と想像した子もいました。
この話の舞台は、江戸時代であることは冒頭の「おしろ」「おとの様」という言葉から推測できます。今から2、300年も前の話でしょうか。それが今まで伝わっているのです。「『わたし』が村の茂平というおじいさんから聞いたお話」という設定なのです。
とすると、「ごんぎつね」は語り継がれた話でしょう。人から人へ伝承された話なのでしょう。ひょっとしたら、本当に神様のようにあがめられたり、村に祠(ほこら)ができたりしたのかも、と想像は膨らみます。「ごんぎつね」を単なる「悲しい話」「報われない話」「悲劇」と読むよりは、「愛されて語り継がれた話」ととらえる方が夢があると思います。事実、63年間も教科書に載り続けていたのです。そのことに、気づいてくれたらうれしく思います。
卒業が近づくときに、6年生と一緒に「ごんぎつね」を読むことができました。一生懸命に考え、反応してくれた6年生のみなさん、ありがとう。このような機会を与えていただいた担任の先生方、ありがとうございました。いい思い出になりました。