ちゅうでん 記念講演会(2)
- 公開日
- 2012/10/08
- 更新日
- 2012/10/08
総務委員会
ちゅうでん教育振興助成贈呈式 記念講演のまとめ 第2回
10/6(土)「ちゅうでん教育振興助成贈呈式」の記念講演の内容を、感想を交えてまとめたものです。
【演題&講師紹介】
「学校・家庭・地域で取り組む防災教育
想定を超える災害から子どもたちの命を守るために」
片田 敏孝氏
群馬大学大学院工学研究科
社会環境デザイン工学専攻
広域首都圏防災研究センター長・教授
※写真は、>NHKスペシャル 釜石の"奇跡” いのちを守る 特別授業より引用しています。
●釜石の防災教育のはじまり
すでに、何年もの間、何度となく、さまざまな場所で「防災講演会」や「防災セミナー」を開催されてきた片田先生ですが、だんだん無力感を感じるようになったそうです。
どこへ行っても、だいたい同じ顔ぶれ。熱心に聞いてはくれるものの、この会場に来てくれているのは防災に関して「興味・関心」がある人だからそれは当然。
だが、そこから先に広がっていかない。
そうした状況で「これでいいのか」という思いが強くなったそうです。
ある時、小学校へ防災教育に出かけて、校庭で遊んでいた子供と、こんな会話をかわしたそうです。
片田先生「いつか必ず津波が来るってこと知っているかい?」
子供「そんなの知ってるよ」
先生「じゃあ、津波が来た時、きみは逃げるかい?」
子供「ぼく、逃げないよ」
先生「どうして?逃げないと死んじゃうよ」
子供「だって、お父さんも逃げないって言ってるし、おじいちゃんもでっかい堤防があるから津波は大丈夫。逃げないって言ってる。だからぼくも逃げない」
片田先生は、この会話で防災教育のスイッチが入ったとおっしゃいました。
このままでは、この子は確実に死ぬ。この子を死なせてしまうのは、親であり祖父母であり、近所の大人たち。
「自分は逃げない」と言っているすべての大人の責任だ。
こんな環境で育っている子供たちでは、みんな命を落としてしまう。
そういう危機感を強く持たれた先生は、「釜石の子供たちを一人も津波で死なせない!」という強い思いで、その後の防災教育に取り組まれたとのことでした。