ミニ版「ほろほろ通信」 10/20号
- 公開日
- 2013/10/24
- 更新日
- 2013/10/24
ほろほろ通信
ミニ版「ほろほろ通信」10/20号
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「普段言えないけど、ありがとう」
春日井市の80代の男性からの投稿です。
男性は、以前、大手電機メーカーに勤めていました。
若いころから正しいと思ったことは、絶対に曲げなかったそうで、ある時、電気機器を海外へ輸出する際に取扱説明書を相手国の言語で作ってほしい、と上司に申し出ると「日本語で十分だ」と却下され、それが原因で言い争いになりました。
そんなことは日常茶飯事でしたが、自分に非がないと思うと、絶対に譲らなかったそうです。
27歳のときに、ご縁のあった女性と結婚する際「私はそんな具合だから、平社員で終わるだろうがいいだろうか」と聞くと、迷わず「いいですよ」と言ってくれたそうです。
その後すぐに、上司から呼ばれて「飼い犬でもワンと鳴けばかわいいだろう」と言われました。それはお中元の要求だったそうです。
この話を奥さんにすると「考えます」と言い、以後、ずっと黙って盆暮れに対応してくれたそうです。
そんな性格を疎まれ、他の会社へ異動になり、右も左も分らぬ中、猛烈に仕事の勉強をし、日本中や海外を駆け回りました。
その間に同期のみんなは出世しましたが、男性はずっと現場で汗を流し続けました。
そして、58歳のとき、「もうそろそろ辞めてもいいかな」と奥さんに言うと「なんとかなるわ」と許してくれたそうです。退職時、同期では唯一の平社員でした。
男性から奥さんへ。
「強情なため苦労をかけたと思う。普段は一度も言ったことはないけれど、今までありがとう」
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社会に出ると、いくら自分が正しいと思っても、それを押し通すことは難しいことがありますね。
そこを譲らずに生きてきた、ということで、ご本人もとても苦労をされたことでしょう。
そして、ご家族、とくに奥さんも、同じようにたいへんご苦労されたと思います。
年を経て、こうして素直に感謝の気持ちを伝え合える家族でいられるといいですね。